カテゴリー: 官能小説

#2 禁断の姉妹 下

「そんなところで突っ立ってないで、お席座ろ?」
「は、はい……」

 菜々美が奈良の手を絡め取ると、引っ張るように歩きだした。菜々美は教室中から集まる視線を気にも留めていない。自分が姫を導く王子であるかのように悠々と歩みを進めている。
 一方、手を引かれる奈良は――まるで贄だ。
 
「奈良ちゃん……ほら、お席、どうぞ」
「あ、ありがとう……ございます……」
 
  窓際最後尾にポツンと佇む、鞄だけが置かれた机。その椅子をそっと引いた菜々美が奈良の背中を押し、ゆっくりと座らせる。そして、自身も隣の席に腰を下ろすと、恍惚とした表情で奈良を観察し始めた。

「……はぁ……じゃあ、点呼を再開するぞ」

 須崎がホームルームを再開すると、2人に集められていた視線が散り、多くの者が教壇に目を向けた。しかし、菜々美だけは奈良から目を離さない。瞼を細め、ほおを朱に染め、奈良の全身をねっとりと舐め回すように眺めている。

(制服……乱れてる。スカートにシミ、セーラカラーにもシミ……おみ足はちょっと濡れてるし、耳も赤い……呼吸も少し不規則……)

 菜々美が唇の端をわずかに吊り上げ、奈良に向かって、椅子ごとそっとにじり寄る。やがて、堪えきれないといった様相で、その小さな肩に手を回した時――奈良の体がビクリと跳ねた。

「ひっ……」
 
 みるみる小さく萎縮してゆく背中を見て、菜々美はごくりと唾を飲み込むと、愉悦に顔を歪める。そして、唇をそっと滑らかな銀髪に押し当てると、耳元で囁いた。
 
『奈良ちゃん……また、お姉さんとお楽しみしてたの……?』
「え……」

 菜々美の手が滑るように奈良の身体を撫でる。肩から腰へ指をなぞり、尻を揉むように撫で回した。奈良がガタリと椅子ごと逃げるように退くが、菜々美はそれを許さない――美しい脚を椅子に引っ掛け、奈良を自身の方へと抱き寄せたのだ。

『奈良ちゃん……ダメじゃない。近親相姦……だよ?あの頃から全く……変われてないんだね……』
「ごめんなさい……あの……」

 奈良は逃げ場なく菜々美の腕に抱かれて縮こまり、ただただ、震えることしかできない。そうしている内に、徐々に、徐々に、菜々美の息が荒くなっていく。

『はぁ……はぁはぁ……ふぅ……はぁ……くんくん……可愛い奈良ちゃん……はぁはぁ…………ねぇ――』
 
 突如、白く細い指が奈良の顎を撫で――柔らかな頬にムチュリと、口付け一丁。

「や…やめ………」
『奈良ちゃん……ちゃんと私があげた写真……活用してる……?』
「……して……ます……」

 愉悦――菜々美の腰が僅かに捩れる。

『ほんとにっ……!?嬉しい……❤︎……奈良ちゃん……お姉さんと変態セックスしてる奈良ちゃん……でも……』
「や……やめ……てください……そんな……こと……してなんか……」

 菜々美の指が奈良の口に差し込まれ、口の端を引っ張る。「むぐ」と声を漏らし、助けを求めるように奈良は須崎に目を向けるが、彼女の姿はない。既に点呼を終え、教室を後にしていたのだ。クラスメイトの憐れむような視線が奈良を貫く。

『奈良ちゃんは私のことが……好き……そうだよね』

 菜々美が確かめるように囁いた言葉。
 
「…………」

 奈良は――答えない。
 
 無言の間が二人を包み込み、校庭の何処かで鳴いているカラスの鳴き声がやけに響いた。喧しくもどこか風情のある音が遠のいていく中、菜々美の呆れたような溜息が混じる。

 そして、ぼそりと――

「それでいいの……?私、お姉さんに――」
 
「ひゃ……ひゃいっ……わ、私は金井さんが、す……き、です……」

 奈良が慌てたように叫んだ言葉。震える唇から弱々しく放たれたその言葉を噛み締めるように、菜々美は目を瞑る。フッと溜息をつきビクリと腰を震わせると、彼女の口からだらしない声が漏れ出した。
 その時、奈良の口に差し込まれていた指がこぼれ落ちる。そして、それは菜々美のスカートの下に消えていく。

「ぁ……んっ……はぁ……はぁ……」
「金井……さん……?」

 力の弛みを感じた奈良は無意識に、菜々美の腕を抜け出していた。心配する様な瞳を向けながら、距離を取る様に椅子に座り直している。
 菜々美は椅子にもたれかかったまま、荒い息を整えた。肺の動きと共に、豊満な胸が自己主張するように跳ね、セーラーカラーを揺らす。1限の数学教師が来るまでの僅かな休憩時間の到来にざわめきが広がり、2人を閉じた世界に誘った。
 
「はぁ……はぁ……奈良ちゃん……ダメだよ。私っていう、好きな人がいるのに……お姉さんとセックスしちゃダメ……」
「し……してません……っ」

 そんなやりとりの中、奈良がおずおずと席を立つ。どこか後ずさるように背を丸めて。

「奈良ちゃん……どうしたの?」

 菜々美の質問を受け、奈良の瞳に影が落ちた。顔を僅かに背けて、横髪を揺らしている。

「その……行かないと、ダメなので……お話はまた今度…」

 それだけ呟くと、奈良はスカートを靡かせて、どこかへと行ってしまった。鈍臭くトテトテと走る姿は小動物そのもので、肉食獣に今にも取って喰われてしまいそうである。しかし、誰もそうはしない。

(奈良ちゃん……また行っちゃった……やっぱり、桜子先輩は強いなぁ……ふふ……)

 菜々美が怪しい笑顔で再び空白となった席を見つめると、徐に先程まで奈良の尻が置かれていた場所を撫でまわし、残熱を肌で感じ始めた。しばらく続けると、撫でた手のひらを鼻に当て、スーハーと深呼吸をする。

「……んはぁ……❤︎」
 
 そんな彼女を眺めるクラスメイトらは、極めて気色が悪いモノを見るような軽蔑と共に、嫉妬が混じる、そんな熱を持った瞳を投げかけていた。窓から風が吹き抜け、空気が入れ替わろうとも……全ての元凶、柊奈良がどこかへ行ってしまっても、教室を取り巻く歪んだ空気だけは、しつこく、残留していた。
 
 ◇◇◇

 また消えた。私の親友、柊桜子は本当によく消える。休み時間は本当によく消える。

「授業始まるって、はぁ……」
「綾香、また桜子どっか行ったね。今年入ってから桜子、休み時間消えすぎ」

 隣の席に座るまん丸メガネが特徴的なクラスメイト、舞香が笑いながら言うが笑い事ではない。事情を知らないとなんとなく面白いのは分かる。しかし、事情を察してしまうと笑い事には到底収まらない。

「ほんと……異常だよ……」
「仲良い綾香を放ってだもん。寂しかったりするの?」
「はは……まさか」

 私は桜子の心配をしてるわけではない。私はずっと……妹の方、奈良ちゃんを心配しているのだ。
 奈良ちゃんが可愛すぎるのは分かる。それにしても、桜子のシスコンっぷりは異常。桜子が授業中見ているのはいつだって、ノートでも教科書でもなく、奈良ちゃんの自作写真集。中学の頃からずっとそう。
 そんな激ヤバシスコンが休み時間になると必ず姿を消す……そんなの理由は一つしか想像つかない。

「絶対……奈良ちゃんにまとわりついてる……最悪、ストーカーまがいのこと……」
「え……なんて?」

 ただただ奈良ちゃんが心配。奈良ちゃんが桜子に変なことされてるのを想像すると、胸がキュンといたんで、体が熱くなる。それと同時に、そんなことをしている相手に、沸々とした何かが湧き上がってくる。
 気づけばスマホを叩いていた。奈良ちゃんにメッセージを打つ。本来、こんなこと、桜子が絶対に許さない行為なんだけど、親友補正で奈良ちゃんと直接メッセージのやり取りすることを見逃してくれているっぽい。

『けさ、うるうるしてたけど大丈夫?
 私で良ければお話し聞くよ?』

 何か違う。『聞くよ?』だと奈良ちゃんが遠慮して、
『ありがとうございます』
『でも大丈夫です!』
『ちょっと調子悪かっただけですから!(≧∀≦)』
みたいな返事が返ってくるに違いない。奈良ちゃんは遠慮しがちだし、そういう子だ。

『綾香おねーちゃん、奈良ちゃんとお話ししたいなぁ〜。チラッ』

 ……ちょっと桜子みたいなお姉ちゃん感で奈良ちゃんを惹きつけつつ、「お願い」することで逆に遠慮させる。これなら、奈良ちゃんもお話ししてくれる……もうひと押し足りないかな。

『今日の夕方、2人きりで電話したりできないかな?』

 これでとどめ。奈良ちゃんは強引に行けば、遠慮なんてできないからね。桜子の許可が鬼門だけど、なんとかバレずに時間を作ってお話ししてくれることも、あることにはあるから……それに期待。

「綾香、どうしたの?そんなにニマニマして。好きな男でもできたの?」

 舞香がイタズラな笑みを浮かべながら、覗き込んでくる。レンズを光らせて、何てことを言うのだこの娘は。

「バカ言わないで、そんなわけ無いから」
「ほんとかなぁ」

 男なんか……何がいいのか分からない。奈良ちゃんの方が、可愛いし優しいし可憐だし純粋だし。そう言う意味では好きな女の子にニマニマしてた……のかな。でも、恋愛とかじゃ、無いし。

「はいはい邪推しないのっ」
「え〜」

 奈良ちゃんの返事、いつ来るかな。下校の時にも会えるし、その時に直接かな。楽しみだな。奈良ちゃん……私が絶対に守ってあげるからね。どれだけ桜子が変態でどうしようもなくても、絶対に。
 ……授業が始まるまで後2分。とりあえず奈良ちゃんの教室覗いてみようかな。

 ◇◇◇

 一階の多目的トイレでは裸にひん剥かれた奈良が、桜子の上で腰を振っていた。前後にせっせっと、グチュグチュとした音を立てて揺らされているのだ。桜子の手がギュッと奈良の両尻を掴み、奈良の腰を導く。上の服を脱ぎ、スカートとパンツを下ろして便器に座る桜子の腿に濃厚な愛液が染み込んでいた。

「はぁ……はぁ……お姉ちゃん……お姉ちゃん……ダメなのに……ダメなのに…ぃ…」
「ダメじゃない❤︎……普通のことよ、姉妹じゃね……❤︎」

 奈良の顔はすっかり蕩け、頬に涙を流しながらも快楽に歪んでいる。涎をこぼす口角は僅かに上がり、淫靡な吐息を吐き出す口は積極的に塞がれていた。

「んんっ……ん……にゃあ……おねぇ……ちゃ……んふぅ……」

 グチュ……グチュ…ジュル……ンチュ……卑猥な摺音が小さな部屋に響く。扉の外から喧騒は聞こえない。

「んはぁ……奈良気持ちいい?お姉ちゃん、奈良が気持ちよくなってくれたら、もう何もいらないよ……奈良の愛以外❤︎」
「……よくない……気持ちよくないぃ……んんっ……ぁふ……」

 絶えず擦り付けられていた奈良の尻がビクンと跳ねた。小ぶりなのに肉がタワワとついたエロ尻がブルンと跳ね、桜子を悦ばせる。
 桜子が鼻息を荒くして、パシンと桃尻をしばくと奈良は甘い声を出して震えた。桜子に絡みつく腕の力が強くなり、唇を桜子のものに吸い付かせ、全てを吸い取る様に胸を上下させている。桜子の爆乳が奈良との間で潰れるほどに、2人は密着していた。奈良の腰が怪しく揺れている。

「んっ……はぁふ……すは……んにゅ……ぁぃ……く……しゅ……き……ん……だめ……ちがう……しゅきじゃな…いぃ……だめ……うそ……すは……んん……」
「ん……はぁ……にゃら……ぜぇ……くるしいよぉ❤︎……お姉ちゃんの……んんっ……息好きすぎ❤︎」

 その時、桜子のスカートからバイブ音が鳴り、2人の動きが一瞬止まる。

(奈良のスマホに通知……?だれ……綾香……?)

 桜子が自身の唇に吸い付く妹を宥め、引き剥がす。さらりとした前髪を指で優しく上げ、愛欲に溶けた瞳に目を合わし、猫撫で声で囁いた。

「奈良……待て❤︎……命令、お姉ちゃんのスカートから、奈良の携帯を取り出して私に見せなさい❤︎」
「ぇ……やだぁ……」

 奈良はそのまま俯いて、桜子の胸に顔を沈み込ませた。桜子の胸の中で空気が騒がしく動いている。
 困った様な笑みを浮かべて、桜子が自身の髪を一房摘んで谷間に差し込むと、暫くもしない内に、その毛束は胸の中に吸い込まれていった。それを掴み引き上げると、モグモグと毛束を咥えた奈良の顔が上がる。
 桜子の髪を口いっぱいに頬張り、恍惚の表情をした奈良が釣れた様だ。

「もむ……んぐ……にゃあ……お姉ちゃん……これは違くて……んぐ……かってに……口の中入っただけで……」
「はいはい❤︎……分かったから言うこと聞きなさい❤︎」
「んむ……ぅ……」

 桜子の透き通る様な手が、優しく奈良の口を開いて髪の毛を掻き出した。奈良の唾液でべっちょりと濡れた毛束が肌に張り付き、重みで彼女の頭皮を引っ張るが、その痛みすら幸せなのか、優しい笑みを浮かべている。
 奈良がフラフラになりながら、立たされるとへにゃりと屈んで桜子のスカートを漁った。桜子の写真が透明カバーの隙間に入れられたスマホを取り出すと、すぐに桜子の上に向かい合って座ってしまう。

「はい……お姉ちゃん……パスワードは変えてない……」
「はぁい……よくできました❤︎……よしよし……」
「うん……」
 
 奈良はすぐにスマホを姉乳に挟むと、腰に手を回して抱きついた。肩に流れる桜子の髪に顔を埋めて、呼吸を整えている。桜子に撫でられては、目を細めて気持ちよさそうに喉を鳴らし、腰を僅かに揺らし始めていた。

「もう……ほんとに……変態……❤︎」
「変態じゃないもん……」

 そんな妹の背中を片手で摩りながら、谷間からスマホを摘みとり、ロックを開いた。通知の正体は……綾香。桜子の眉がピクリと動く。

「奈良……綾香が、2人きりで、お話ししたいって……どうしたい……?」
「お姉ちゃんが良いなら……」

 桜子は片手をそっと奈良の胸に当て、手のひらで無い胸を掴む。ゾワゾワと体を捩らせ、太ももに伝う愛液の増加を肌で感じながら奈良の耳を甘噛みした。

「んひゃぁ……お姉ちゃん……っ……」
「お姉ちゃんに……許して欲しい……?」
「はぁ……はぁ……お話を……?」
「もちろん……」

 奈良が桜子の上で固まる。桜子の太ももに擦り付けられる愛弁だけが、ヒクヒクと擦れ、愛を示している。
 しばらくして、奈良が口を開いた。

「許して……欲しい……綾香さんと……」
「ふふ……お仕置き確定ね……❤︎」

 遮る様に奈良の鼓膜に囁かれた甘い宣言に、彼女の腰はガクガクと震えた。桜子の太ももを伝うものが勢いよく流れる。

「ん……ぁ……ふ……やだぁ……おかしい……そんなの……」
「言い訳はベットの上で、聞いてあげるからね……❤︎」
「んにゃぁ……」
 
 ポタポタと便器に落ちる水滴の音を掻き消すように、廊下からチャイムが鳴り響く。しかし、そんな音は聞こえていないかの様に、時間も忘れて、二人は溶け合い続けた。

◇◇◇

「じゃあ明日からの土日は、体を休めてください。1週間お疲れ様でした。……ふぅ……解散」

 須崎の言葉共にLHRが終わり、生徒たちがわいわいと騒がしく荷物を纏め始める。窓から差し込む光はまだ青く、週末の開放感が教室には満ちていた。
 教室の端では、奈良もワタワタとカバンにノートを詰めている。不器用に手を滑らせて、一冊のノートを足下に落とすと、「ひゃ…」と声を漏らした。
 腰を下ろし、ノートを拾い上げようとした奈良の手は、さっとノートを回収した白い手によって行き場を失ってしまう。彼女が震える瞳で見上げる先には、美しい顔を紅潮させた菜々美がノートを手に笑っていた。

 「奈良ちゃん……はい、どうぞ……」

 肩にかかる銀髪をそっと揺らし、甘い香りと共に立ち上がった奈良は、背を丸めながら、おずおずと手渡されたノートを受け取った。

「……あ、ありがとう……ございます……」

 奈良が机に向き直り、カバンにノートをしまおうとした瞬間——

 菜々美の腕が、するりと奈良の腰に回される。

 奈良の動きがピタリと止まり、肩が小さく震えた。目を伏せたままの奈良の目尻には、じわりと涙が滲み始めている。

「あ……あの……」
「はぁ……ふぅ……良い香りだね……奈良ちゃん」

 奈良のつむじに鼻先を向け、嗅ぐ様に鼻をヒクつかせる。鼻息が奈良の髪を揺らし、いやらしい手が奈良の尻を犯した。モミモミ、パシンと好き勝手に弄っている。
 奈良の呼吸が次第に不規則になる。甘く切ない声と共に、震えるように体を捩らせ菜々美に向けて倒れ込んだ。

「や……やめて……欲しいです……私……やっぱり……」
「奈良ちゃん……近親相姦はダメなんだから……私としないと……ね……」

 菜々美に手は止まる事なく、奈良の全身を撫で回す。制服の中に手を侵入させ、お腹を撫でては胸を揉む。首筋に鼻息を当てて、菜々美は腰をビクンと揺らした。

「や……いやです……私……お姉ちゃん……が……待ってるから……」
「だめだめ……ぁ……ん……」

 菜々美がビクビクと足を震わせると、奈良を弄る手が緩む。その隙に、奈良は激しく体を揺らして、菜々美の腕から抜け出した。胸に手を当てながら息を整え、カバンを手に後ずさる。

「わわ……私……まだ、その……よく…わからなくて……ごめんなさい……協力、してくれてるのに……」
「……はぁはぁ……ふふ……良いんだよ…努力が大事なんだから……今日も奈良ちゃんはお姉さんと、楽しむんだね……」

 奈良は何も言わず、瞳に影を落とした。
 
「……また……月曜に……」

 そう告げると、奈良は逃げる様に教室を後にした。息を切らしながら廊下の人混みを抜けて、途中何も無いところで躓きそうになる。それでも、桜子のクラス――2-Bに向かって必死に走っていた。

 ――――――
 
 奈良がおずおずと2-Bの扉を開ける。ズズズという音を鳴らす扉の隙間から覗かせた顔に、教室内に残っていた数人の女子達が黄色い歓声を上げた。

『来た、奈良ちゃ〜ーん!!』
『可愛いぃぃ〜〜!!』

 髪を金に染めたギャルが、優雅に髪を揺らして立ち上がった桜子を見ながら、若干浮き立った声で訊ねる。

「あのさ、桜子……奈良ちゃん、今日こそ撫で撫でしてみて良い?さすがに可愛すぎるんだわ」
 
 コツコツと足音を立てて、ふわりと扉の前で戸惑う奈良に近づいた桜子は、鼻で笑いながらその愚問に答えた。

「良くないに決まってるでしょ。寝言は寝ていって、何度言わせるの」
「えーー」

 桜子が奈良を抱きしめる前に、奈良の方から姉おっぱいに沈み込んでいた。胸をくすぐる様な感触を受けて、桜子は慈しむ様な瞳で奈良を見つめる。

「おねぇちゃん……ふわ……すは……ごめんなさい……2分遅れちゃって……ごめんなさい……」
「ううん……良いのよ……奈良……よしよし❤︎」

 甘い香りがする様なやり取りに、女子達は呆れた様な、羨ましい様な溜息をついた。

「はぁ……じゃあ、うちら部活行くわ」
「おし、ワイらは帰って、コメバいこーぜ」
 (※コメバ――コメットバックス。おしゃれなカフェの店)
「良いねー」

 ガヤガヤと人が出ていき、教室内に残ったのは、抱き合う柊姉妹と目を伏せて椅子に触る綾香だけとなった。

「……お姉ちゃん……むゆ……すは……お姉ちゃん……」
「どうしたの……❤︎甘えん坊はおうち帰ってからにしないと❤︎」
「……甘えてないもん……」

  完全に二人だけの世界に入り込んだ姉妹のやり取りに、綾香が大きくため息をついた。
 その音が耳に届いたのか、奈良が桜子の柔らかなクッションから顔を上げる。

 桜子は物足りなさそうに唇を尖らせたが、奈良はそれに気づくことなく、姉の腕からするりと抜け出した。そして、綾香のもとへと駆け寄ると、さらりと横髪を垂らしながら彼女の瞳を覗き込む。

 まんまるに煌めく蒼瞳が、紅の瞳をうるうると見つめていた——。

「綾香さん……どうしたの……?」
「ぇ……奈良ちゃん……」

 綾香の耳たぶが赤く染まる。あらぬ方向へと目を逸らし、綾香から上擦った声が出た。綾香を見つめる桜子の瞳は、奈良とは対照的に鋭く冷たい。

「ぃ……いや……何も無いよっ……あはは……さ、桜子、早く帰ろうよっ……そう思ってただけだから……あはは……」

 きょとんとした顔で棒立ちする奈良を、桜子が小脇に抱き寄せ、そのまま3人はカバンを手に学校を出た。

 ◇◇◇

「んっ……はぁ……にゃ……ぁ……ちゅぱ……ちゅむ……ん……」
「はーい❤︎……ばぶばぶ……」

 家に帰るとすぐ、お姉ちゃんがリビングでやろうって……こんなのダメ……だけど……お姉ちゃんがおっぱいにつば塗り込むから、そんなの舐めないと勿体無いから……舐めてるだけ……これはセーフだよね。

「ちゅぱ……んむぅ……にゃ……もっと……やっぱり嘘……」
「あっ……ソファに唾溢れちゃう……うぇー……」

 布製のソファに唾なんてかけたら、お母さんに怒られちゃう……!だから、これは仕方ない。お母さんのために、ソファに溢れる前にお姉ちゃんの唾飲まなきゃ。

「ぁむ……あー……ん……にゃあ……じゅる……まぁ〜……」
「奈良ぁ……❤︎……お姉ちゃん、次は鼻水垂れちゃいそう……❤︎……ちーん……」

 お姉ちゃんの鼻から……これもソファに着いたらダメだから奈良が、奈良が飲まないと。

「ちゅる……んんっ……ぁま……はぁ……」

 甘くてヌリュっとした酸味が舌の上で溶ける。飲むたびに思うけど……お姉ちゃんの鼻水は最高級ゼリーみたいな感じ。美味しい……美味しい……人生で口にしたどんなゼリーよりも、遥かに美味なの。こんなこと思って良いのかな……これは近親相姦?鼻水飲むのってそうなのかな……違うよね。これは普通だよね、姉妹じゃ。それならいいのかな。
 ふと見上げると、お姉ちゃんの瞳が私を見てる。真っ直ぐ見てくれてる。そんな美しくて、澄んだ瞳をして、奈良の胸を……私の……妹の胸を弄ってる。胸を揉みほぐされると、体の芯が震える。乳首カリカリしないでぇ……変な熱がぁ……。

「んにゃぁ……お姉ちゃんんぅ……はあ……はぁ……」
「あらあら……もうイきそうなのね……❤︎……じゃあ……ほら立てる……?」

 足がフラフラして立てない。お姉ちゃんが支えてくれないと、立てない。でも、お姉ちゃんが抱きしめて、支えてくれたら立てるかも。

「ぁ……お姉ちゃん……にゃら立てないぃ……」
「はーい❤︎」

 お姉ちゃんが優しく私を抱きしめて、立たせてくれた。
 お姉ちゃんの胸に顔を沈めると、甘い香りが鼻腔を満たす。何も考えられなくなるくらい、心が落ち着いて安心する。お姉ちゃん……好き……大好き……。

「お部屋行くよ……?…大丈夫……お姉ちゃんの胸の中なら一緒に歩ける?」
「うん……あるける……」
「よかった❤︎……ほら行くよ……❤︎」

 お部屋入るとついに始まるのかな。今日のお仕置き。お仕置き、何されるかな。お姉ちゃん、奈良……お仕置き…………。
 
 

#1 禁断の姉妹 上 [挿絵あり]

 お姉ちゃんに手を引かれ、月明かりがベットを照らす部屋へと連れ込まれる。お姉ちゃんの部屋はいつも甘い香りがして、入った途端、胸の奥がじんわりと熱くなる。股の奥も……きゅんと疼く。

 青銀の長髪をふわりと揺らして、お姉ちゃんがベッドに腰を下ろすと、ギシリと軋む音が立った。続けて、お姉ちゃんがそっと服の裾に手をかけると、ほんのりと赤みがかった透き通る素肌が顕になる。常夜灯がたゆんと溢れた乳房に影を作り、艶かしい凹凸を際立たせていた。私の目は吸い寄せられる様にそれを見てしまう。息が荒くなる。呼吸が……足りない。
 そして、お姉ちゃんは、立ち尽くす私に向かって両腕を広げ、甘く囁いた。

「なぁら❤︎……こっちおいで……」

 蕩けるような猫撫で声が耳をくすぐる。甘くて、優しい音が、脳の奥まで溶かすように沁み込んできた。

「ぉ……お姉ちゃんっ……」

 私は吸い寄せられるように、お姉ちゃんの胸に顔を埋めた。ふわりと、鼻腔を満たすのは、誰よりも何よりも私を安心させてくれる、大好きな香り。
 柔らかな膨らみに頬を寄せると、包み込まれるような温もりに体が緩んでいく。

「奈良はほんとに、甘えん坊なんだから……じゃあ、奈良も服、脱ごっか……」
「う……うん……」

 お姉ちゃんの指が、私のパジャマのボタンにそっと触れる。ひとつ、ふたつと外されるたび、蒼い瞳が甘く細められ、熱を帯びていくのがわかった。
 全てのボタンが外れると、ためらいなく、お姉ちゃんの指先がパジャマを剥いでいく。肌に空調の冷気が触れ、背筋がぞくりと震えた。

「奈良はほんとーに可愛いっ……じゃあ、今日もはじめようね❤︎……なぁら❤︎」
「ぁ……ぇぁ……ぅ、うん……お姉ちゃんっ……」

 私はお姉ちゃんに逆らえない。いつも頼ってばかり、甘えてばかりの私は、お姉ちゃんの言葉ひとつで、簡単に従ってしまう。
 だって、お姉ちゃんには絶対に、ぜっったいに嫌われたくないから。

「ぁ……やだぁっ…………んっ……」
「もうこんなに濡らして……ほんとうに…シスコン妹なんだから……」

 お姉ちゃんの手が、私の奥を這う。くちゅ、くちゅ、と恥ずかしい音が響くたび、体の奥がきゅんと疼いてしまう。
 私は今日も、お姉ちゃんに抗えない。

 ――そして、お姉ちゃんに犯される。

 ――いや、犯してもらえる……。

◆ ◆ ◆

 とある田舎、冥天町に住む柊家は、地元では有名な美形一家だ。美人でお淑やかな長女の桜子に、寡黙でお人形さんのような次女の奈良。この姉妹の銀髪の髪に蒼色の瞳は、この田舎では一際目立っている。
 
 玄関の扉を開けた姉妹を迎える様に、涼風が吹き抜けた。庭の木々や植木がざわめき、木の葉が舞い散る。その一つが奈良の薄い胸を隠す、セーラー服のネクタイに引っかかった。
 奈良はそれにも気づかず、塀の向こうに見える坂道から見晴らす冥天町の田園を眺めていた。丘の上に建てられた振興住宅街の下には、見渡す限り田んぼが広がっていて、水を薄く張ったそれが太陽を反射し、美しく煌めいている。
 玄関の鍵を閉め終えた桜子が奈良の腰にそっと手を回し、抱き寄せる。甘い声を漏らしながら、姉を見上げる奈良の瞳は僅かに潤んでいた。

「ぁ…お姉ちゃん……」
「奈良……学校行こうね……ほら、歩いて……」
「わ、わかってるもん……」

 家の庭を出て、小脇に抱き合いながら道を歩く2人は、その美しさもあってかなりの人目を引く。通りすがりのほとんどの人々は、彼女たちに目を奪われ、思わず振り返ってしまう。
 
「奈良はさ、学校楽しい?」
「…うん…まあ…」
「友達なんて居ないよね?」
「…いない…」
 
 その言葉を聞いて、桜子は少し安心したように笑みを浮かべた。
 
「良かった、でも、大丈夫だからね。奈良にはお姉ちゃんがいるから」
「…うん……」
 
 桜子は俯いて歩く奈良に顔を寄せ、柔らかい頬に口付けを落とす。キスされたのが恥ずかしかったのか、奈良は少し頬を赤らめ、歩調を早めた。

「どうしたの奈良?急ぐの?可愛いね」
「…お姉ちゃん……やめてよ…」
 
 桜子は奈良の腰に手を回しており、彼女の小さい身体はしっかりホールドされて逃げられない。
 桜子の手はまさぐるように、奈良のお腹を撫で始めた。今、桜子は奈良の顔しか見ておらず、前方などは気にも留めていないようだ。
 
「奈良は今日もほんとーに可愛いね。お腹柔らかいね。もちもち」
 
 桜子の手はエスカレートしていき、スカートの中に滑り込んでゆく。
 
「はぁ…ぅぅ……お、お姉ちゃん……お願い…だれかに…見られたら…」

 奈良の瞳は涙でうるみ始めた。頬は紅潮し、耳まで赤くなっている。
 そんな時、背後から2人に元気な声がかけられた。
 
「桜子っ、奈良ちゃんとは相変わらずベッタベタだね。おはよ」
「綾香、おはよ」
「……おはよう…ございます…」
 
 桜子の手は、親友である日暮綾香の登場によって、奈良のスカートから撤退していた。奈良はホッと息をつく。
 黒髪のツインテールと長い後ろ髪を風になびかせ、綾香は奈良の隣に静かに立った。彼女の真紅の瞳が、懸念を帯びて奈良を見つめている。
 
「奈良ちゃん、どうしたの?何か辛いことでもあったの?」

 綾香は奈良の目尻に浮かんだ涙を見て、違和感を感じたようだ。さりげなく、奈良の左手を掴み、桜子から引き剥がす。一瞬、桜子の目が鋭く綾香を睨んだが、それに気づくものはその場にはいなかった。桜子は黙って奈良の背中に手を回し、優しく撫で始める。
 
「…えっと…その…」

 奈良の目が泳ぐ。
 
「奈良、無理して言う必要はないからね。今日の夜にでも、お姉ちゃんが2人きりで聞いてあげるからね」
「桜子……あんたさ、はぁ……。奈良ちゃん、もしよかったら私に連絡して。なんでも相談のるからね」
「……あの……はい……ありがとう…ございます」

 奈良は2人の押しに耐えられず、ただ俯くばかり。奈良を挟む2人の間には、緊張した空気感が漂っていた。

 ――――――――

 田んぼや古びた民家が立ち並ぶ、のどかな田舎道を3人の少女は歩みを進める。静かな春の風が田んぼの苗を揺らし、自然のざわめきをつくった。
 しばらくすると、道は寂れた街へと移り変わる。多くの店舗が閉店し、寂しさを感じさせる商店街を抜けると黒ずんだ校舎が姿を現した。次第に道を歩く学生の数が増え、辺りが賑やかになってゆく。

「もうそろそろ着くね。ねぇ、奈良。お姉ちゃん寂しいよ。奈良と離れ離れになっちゃうなんて…」

 桜子は奈良の右腕を絡め取り、ねっとりと囁いた。そんな桜子を綾香は冷めた目で見つめる。

「桜子はそろそろ妹離れしたほうがいいんじゃない? ねぇ、奈良ちゃん」
「……えと……そう…なのかもしれません……」

 伏し目がちに答えた奈良の言葉に、桜子の目が大きく開き、表情が強張った。奈良の右手を握る手に、ぎゅっと力が込められ、手の甲に青筋が浮かんでいる。

「綾香も奈良もひどいね。なんでそんなこと言うの」

 桜子が唇を尖らせ、いじけた様子を見せると、綾香は呆れた表情でため息を吐いた。
 そうこうしている内に3人は正門を抜け、高校に足を踏み入れる。生徒達が慌ただしく行き交う廊下を、奈良が瞳に影を落としたまま歩き、その後ろでは、保護者の様に慈しむ表情を浮かべる桜子と綾香が談笑していた。
 その3人とすれ違う男子生徒の多くは、奈良と桜子に目が釘付けになり立ち止まる。

「ぼ、僕さ、今日、奈良ちゃんに告白しようと思ってる――」
「え、いやそれは……やめといた方が――」
 
「柊先輩のおっぱい――」
「太ももだって――」
 
 等、立ち止まる男子生徒は思い思いに呟きながら、3人の背中を見送った。
 桜子と綾香は、まるで奈良を自慢するかのように誇らしげな表情を浮かべ、満足げに微笑む。一方、奈良は俯いたまま、男子生徒達の様子には気づかずに廊下の白線に沿って歩き続けていた。
 やがて奈良の教室である1年A組の前にたどり着くと、奈良が足を止め、2人もそれに続く。廊下の喧騒が少し遠ざかり、静かな空気が3人を包んだ。
 
「奈良、今日も一日、頑張ってね」
「奈良ちゃん、またね」
「……うん…お姉ちゃん……綾香さん……」

 1年A組の前で桜子と綾香は奈良にお別れの挨拶を言う。綾香が少し淋しそうに踵を返した時、桜子が奈良をそっと抱きしめると、奈良は無抵抗に収まった。桜子の胸にすっぽりと包まれて縮こまった奈良の耳元に、甘い囁きがかけられる。

『なぁら……5分後、一階の多目的トイレに来なさい……わかった?』
『ぁ……ふ……』

 奈良はその質問に、足をガクガクと震わし、腰をビクンビクンと跳ねさせて答えた。スカートの裾が怪しく揺れる。桜子の胸の中で、蒸気を含んだ息を何度も何度も荒く吐き出し、耳たぶが真っ赤になって放熱を始めている。

『だめ……だよ……はぁ…はぁ……おねえ…ちゃん……』
『だめじゃないでしょ……奈良、何がダメなのかお姉ちゃんが分かるように説明してくれる……?もし、お姉ちゃんが分からなかったら放課後は一日中お仕置きだけど……❤︎』

 桜子の手が艶かしく奈良の背を這う。背筋に沿って指をなぞると、奈良の腰がゾゾゾと震え、尻をブルリと痙攣させた。甘い鳴き声を姉の胸の中でくぐもらせる。

『……ホ、ホームルームに……お、おくれ……ちゃう……か……ら……だめ……な……の……』

 奈良の緩み切った声を遮るように、桜子の絡めとるような声が奈良にまとわりついた。もう逃げ場はない。

『お仕置き確定ね……なぁら❤︎……じゃあ、多目的トイレ来てね。お姉ちゃん待ってるから……来なかったら……分かるよね?それじゃあ……綾香に怪しまれちゃうから……』
『ぁっ……おねえちゃっ……』

 奈良は解放されても、桜子に抱きついたまま離れない。桜子が困ったように微笑みながら、そっと小さな頭を撫でると、観念したかのように奈良は離れた。真っ赤に火照った顔で姉を見上げ、両手で胸を押さえている。

「2人とも何してるの?桜子、行かないの?」
「うん……綾香、待たせてごめんね。じゃあ奈良、また❤︎」
「…………うん」

 残された奈良の背中は小さく、小動物のように震えていた。

 ◆ ◆ ◆

 奈良に言いつけた多目的トイレに向かうと、既に誰かが使っているようだった。奈良が待っていることを期待してノックすると、内側からガチャリと鍵が開き、可愛い妹が顔を覗かせる。

「お姉ちゃん……はやく……ホームルームが……」

 奈良がもじもじと身体を揺らしながら、私の服の裾を引っ張った。私の愛らしい欲しがり妹は、はやくお姉ちゃんを感じたいらしい。

「はーい、はやくエッチしようね❤︎」
「う……うん……」

 奈良を押し込むように部屋に入り、扉を閉めると廊下のざわめきが一気に遠くなる。鍵を閉めれば、もう2人だけの世界。声だけ気をつければ、エッチでもなんでもし放題だ。
 長いまつ毛の下から、上目遣いで私を見つめる奈良を見下ろすと、カラダの奥がジンと沸き立つ。どんどんポカポカしてきて、服すら脱いでしまいたい。

「なぁら……まず、何からして欲しい?」

 奈良はぷくりと頬を膨らませて、そっぽを向く。そして蚊の鳴くような声でぼそっと答えた。

「な……なにも……いらない…もん……」

 そんなことを言って、お姉ちゃんは奈良が欲しがりなドシスコン妹なのを知っているんだぞ。立ったまま、優しく胸に抱き寄せると奈良が甘い声を漏らす。

「ぅ……うぅ……すぅ……ぅ……はぁ……はぁ……お姉ちゃん……お姉ちゃんの……におい…………」

 ……ほら、このシスコン妹はお姉ちゃんの温もりに包まれてすぐ、くんかくんかと楽しみ始めた。
 そうして、胸に埋もれた繊細な銀髪。これを撫でると妹臭がほのかに舞う。この甘くてムラムラする淫靡な匂いは、いつも私を狂わせる。肩にかかった髪を徐に一房つまみ取ると、そっと口に含んだ。優しい癖になるような旨味と甘味が舌にとろける。

「奈良の髪はやっぱり美味しいね……はむ……んんっ……ぁぁ……なら……お姉ちゃん、すっごいムラムラしてきちゃった……」

 お姉ちゃんのおっぱいに興奮して息荒くクンクンしている変態妹をそっと引き剥がすと、そっと唇を重ねた。繋がった隙間から、熱を孕んだ吐息が流れ込んでくる。それは荒く、不規則。奈良は無我夢中になって、私の吐息を味わおうとしているのだ。なにしろ私の妹は、お姉ちゃんのことが大好きなど変態なのだから。

「ふぁ……おねえちゃ……んんっ……ぁ……やぁっ……しゅ……だめぇ……」
「んぁ……はむ…じゅる……はぁふ……んんっ……ま」

 私は、口の中に広がる奈良の髪を舌の上でころがし、奈良の口へと差し込んだ。奈良の口腔には、お姉ちゃんの舌を嬉しそうに絡みとる変態舌がいつも待っている。今日も嬉々としてお姉ちゃんの唾液を吸い込んでは、プレゼントも受け取ってくれた。

 奈良を抱き寄せる両手に、ビクンビクンと振動が伝わる。そっとスカートを捲り、小柄で華奢な体についた変態桃尻を撫でると指に水気が伝わる。
 奈良はもうパンツまで決壊してるみたい……❤︎
 いつものことか…❤︎

「んっ……はぁ…どう、なら……美味しい?…お姉ちゃんの唾液ドレッシングをかけた奈良の髪だよ……」
「ふぁぁ……にゃぁ…やだぁ……だめなのに……ぁふ……しゅき……おいちくなんかぁ……ない……」

 まだキスしただけなのに、こんなに蕩けて。これだから欲しがり妹のお世話は大変なのよね。お姉ちゃんが1時間に一回は“愛して”あげないと、この子は飢餓しちゃうに決まってる。こんなに飢えてるんだもん❤︎
 生意気を口にする唇にお仕置きキスを落としながら、壁に押し付けるように貪る。奈良の唾液を吸い込んでは、お姉ちゃんの愛を送り込む……奈良と私だけの特別な愛情表現。

「んんっ……ぁむ……じゅる……なぁら……」
「ぁ……ん……だめ……やぁっ……ん……だめぇ……っ……じゅる……じゅるる……ぁぁ……じゅる……にゃあ……」

 唇を離すとそこにはすっかり蕩け切った、敏感快楽堕ち妹が顔を真っ赤にし、喜びで目尻に涙を浮かばせていた。口に入った髪が可愛い。奈良が自分自身の髪を食べさせられている……それだけで興奮する。可愛すぎる天使のウロボロス❤︎

「奈良、おパンツ脱ごうね……」
「ぁ……ぁ…ぅ……やだぁ………」

 ヤダなんて言いながら、従順にびしょ濡れになったそれを献上して、胸に埋もれちゃうのが、私の妹。私のことが好きすぎる……変態妹……❤︎
 奈良から受け取ったパンツを鼻に押し付けて嗅ぐと、水気が染み出して鼻腔を満たす。遅れて甘い香りが包み込み、ドーパミンが溢れ出した。股間が疼き、熱いものが込み上げて漏れ出す。

「はぁ……もう……無理、奈良……ホームルームなんて……もういいでしょ……❤︎」
「やぁ……だめ……っ……はふ……はぁっ……だめだよっ……」

 込み上げる劣情のままに、奈良をトイレに座らせた。両足を持ち上げ、奈良の偏差値百億の愛弁に対面すると、ビクビクと汁を漏らし、グニュグニュと私が待ち遠しくて泣いている。

「やぁっ……だめ……っ……お姉ちゃんっ……昨日もっ……先生に怒られたのにっ……」
「はぁっ……はぁっ……そしたら今日はお姉ちゃんが同伴してあげる…❤︎…全部お姉ちゃんのせい……それでいいでしょ……」
「良くないっ……だめぇっ……やぁっ……おねえちゃ……っ……ぁ……ぃぐ……ぁぁっ……んんんっ……ひゃぁ……」

 か弱い力で突っ張る腕を退け、奈良の小さな割れ目に舌をなぞり這わせた途端、割れ目から勢いよく温かいものが噴き出した。口腔に広がる酸味、芳ばしいこの香りは――聖水。お姉ちゃんのために、おしっこ貯めててくれてたんだ、奈良❤︎
 妹のおしっこを飲むのは、本当に幸せだ。生を実感する。私は奈良を愛するために、奈良の全てを知るために生きてる。私だけの……奈良。誰にも渡さない、私だけが見て、感じて、味わって、愛される。私だけ……私だけ……お姉ちゃんだけのもの。
 

◆ ◆ ◆

 奈良のクラス……一年A組では、担当教員の須崎が既にホームルームを始めていた。茶髪を後ろに束ねたポニーテールの女体育教師。そこそこ美人で男子人気も女子人気も高いが、怒らせると怖いと、入学して一、二ヶ月の一年生の間ですら噂されている。

「相川守、池田花、生川翔太、女川悟、金井菜々美……」

 点呼が始まり、生徒たちは名前を呼ばれると返事をしてゆく。すぐに順番は回り、柊奈良が呼ばれると、静寂が訪れた。教師を取り巻く空気が、少しピリつく。
 学生簿からすっと目をあげ、奈良不在の机を見る須崎の瞳は厳しい。カバンだけが机の上に置かれ、その持ち主は居ないのだ。彼女は呆れたようにため息をつくと、ぼそりと文句をこぼした。

「柊……またか。荷物だけ置いて何してる。みんな、何か知ってるか?」

 須藤の質問に答えるものは誰もいない。皆、些細な事を知るのみで、周囲に座る友人とヒソヒソと耳打ちをする程度であった。須藤はざわめき立ったクラスを見渡し、コソコソと喋る1人の学生の前に立った。

「佐藤、お前何か知ってるのか。言ってみろ」

「うぇっ……!」

 声をかけられた女子生徒は、肩を振るわせ、短く改造したスカートから覗かせるムチりとした太ももを組み解く。

「いや……なんか、これたぶんプライベートな話なんで、こんな、晒しあげるような形で話したくないっす」
 
「そうか……それなら良い。本人から聞こう」

 教室の後ろの扉がガラガラと音を立てて開く。クラスの殆どが振り向いた先にいたのは、渦中の柊奈良……と、その姉、柊桜子だった。

「奈良……❤︎……ほら、お姉ちゃんから離れてお席、戻らないとね❤︎」
「うん…………」

 本来、2年の教室にいるべき桜子が、何故か奈良を抱いて現れる。それだけでも、皆を混乱させるには充分であったが、奈良自身も桜子の横乳に顔を埋めるように抱きついており、その異質な雰囲気に誰もが息を呑んだ。
 
「……柊、遅刻だ」
 
 桜子が瞳に鋭い光を宿し須崎を一瞥すると、小脇に抱える妹を撫でながら、甘ったるい声で答える。

「須崎先生……ごめんなさい。可愛い妹が甘えん坊で大変だったんです……❤︎……ねぇ……なぁら……❤︎」
「……そんな……こと……」

 小脇に抱かれた奈良が着る制服は、誰の目から見ても乱れており、スカートの下から覗く膝下が濡れ、法線を顕にしている。髪もどこか怪しく水分を纏っており、皆の想像を掻き立てた。

「……やば……」

 そんな声が、教室のどこかから発せられた。一部の学生が、何かを恐れるようにビクリと縮こまり、固く手を握りしめる。また一部の学生は、その声の発生源を探る様に、滾った目で辺りを見回した。
 
 しかし、桜子は特に気にすることも無く、奈良の頬にキスを落とすと、教室に押し込むように解放した。奈良は名残惜しそうに振り向き、何かを期待する様な瞳で桜子を見上げる。廊下から吹き抜ける風が蒼雪の絹髪を運び、2人を幻想的に飾り立てた。揺れるスカートが巻き上がると、刹那、奈良の濡れた素尻が晒される。

「それじゃあね……奈良。お姉ちゃん、ずっと見てるから」
 
「うん……」

 消えゆく様な声で答える奈良。服の裾を掴み、背筋を丸め縮こまる様に足元を見ている。
 そんな奈良に桜子が耳打ちをした。たった一言、風に溶ける様な声で。

『次の休みも……多目的トイレに来なさい❤︎わかった……?』

 奈良の顔に笑みが溢れる。それが何を意味するのかは、本人しか知り得ない。

「それじゃあ……失礼しました。須崎先生、全部私が悪いので、奈良は怒らないであげて下さいね。」
 
 桜子が優雅に髪をかきあげ、甘い香りを残して教室を去ると教室内に張り詰めた糸がふっと緩んだ。扉の前で立ち尽くす奈良を残して、学生達が思い思いにざわめき始める。

「柊先輩……やっぱエロ……」
「なぁ……やばって言ったやつ誰?」
「奈良ちゃん大丈夫かな……」

 その喧騒を制したのは担任の須崎では無く、1-Aの天才――金井菜々美であった。桜子には劣る巨乳を揺らし立ち上がった彼女は、艶やかな長い黒髪を遅らせ、そっと奈良に近づく。そして、そのまま背後から抱きしめた。自身の胸に奈良の後頭部を埋め、愛おしそうに抱き寄せる。

「奈良ちゃん……大丈夫だった……?」
「ぁ……ぇ……」

 クラス中から冷めた視線が菜々美に寄せられるが、彼女はそれらを気にすること無く、絡めとる様に奈良を撫でまわす。奈良が眉尻を下げ、キョロキョロと上を振り向くと、透き通る様な肌を蒸気させた女が、愉悦で口角を吊り上げていた。