「そんなところで突っ立ってないで、お席座ろ?」
「は、はい……」
菜々美が奈良の手を絡め取ると、引っ張るように歩きだした。菜々美は教室中から集まる視線を気にも留めていない。自分が姫を導く王子であるかのように悠々と歩みを進めている。
一方、手を引かれる奈良は――まるで贄だ。
「奈良ちゃん……ほら、お席、どうぞ」
「あ、ありがとう……ございます……」
窓際最後尾にポツンと佇む、鞄だけが置かれた机。その椅子をそっと引いた菜々美が奈良の背中を押し、ゆっくりと座らせる。そして、自身も隣の席に腰を下ろすと、恍惚とした表情で奈良を観察し始めた。
「……はぁ……じゃあ、点呼を再開するぞ」
須崎がホームルームを再開すると、2人に集められていた視線が散り、多くの者が教壇に目を向けた。しかし、菜々美だけは奈良から目を離さない。瞼を細め、ほおを朱に染め、奈良の全身をねっとりと舐め回すように眺めている。
(制服……乱れてる。スカートにシミ、セーラカラーにもシミ……おみ足はちょっと濡れてるし、耳も赤い……呼吸も少し不規則……)
菜々美が唇の端をわずかに吊り上げ、奈良に向かって、椅子ごとそっとにじり寄る。やがて、堪えきれないといった様相で、その小さな肩に手を回した時――奈良の体がビクリと跳ねた。
「ひっ……」
みるみる小さく萎縮してゆく背中を見て、菜々美はごくりと唾を飲み込むと、愉悦に顔を歪める。そして、唇をそっと滑らかな銀髪に押し当てると、耳元で囁いた。
『奈良ちゃん……また、お姉さんとお楽しみしてたの……?』
「え……」
菜々美の手が滑るように奈良の身体を撫でる。肩から腰へ指をなぞり、尻を揉むように撫で回した。奈良がガタリと椅子ごと逃げるように退くが、菜々美はそれを許さない――美しい脚を椅子に引っ掛け、奈良を自身の方へと抱き寄せたのだ。
『奈良ちゃん……ダメじゃない。近親相姦……だよ?あの頃から全く……変われてないんだね……』
「ごめんなさい……あの……」
奈良は逃げ場なく菜々美の腕に抱かれて縮こまり、ただただ、震えることしかできない。そうしている内に、徐々に、徐々に、菜々美の息が荒くなっていく。
『はぁ……はぁはぁ……ふぅ……はぁ……くんくん……可愛い奈良ちゃん……はぁはぁ…………ねぇ――』
突如、白く細い指が奈良の顎を撫で――柔らかな頬にムチュリと、口付け一丁。
「や…やめ………」
『奈良ちゃん……ちゃんと私があげた写真……活用してる……?』
「……して……ます……」
愉悦――菜々美の腰が僅かに捩れる。
『ほんとにっ……!?嬉しい……❤︎……奈良ちゃん……お姉さんと変態セックスしてる奈良ちゃん……でも……』
「や……やめ……てください……そんな……こと……してなんか……」
菜々美の指が奈良の口に差し込まれ、口の端を引っ張る。「むぐ」と声を漏らし、助けを求めるように奈良は須崎に目を向けるが、彼女の姿はない。既に点呼を終え、教室を後にしていたのだ。クラスメイトの憐れむような視線が奈良を貫く。
『奈良ちゃんは私のことが……好き……そうだよね』
菜々美が確かめるように囁いた言葉。
「…………」
奈良は――答えない。
無言の間が二人を包み込み、校庭の何処かで鳴いているカラスの鳴き声がやけに響いた。喧しくもどこか風情のある音が遠のいていく中、菜々美の呆れたような溜息が混じる。
そして、ぼそりと――
「それでいいの……?私、お姉さんに――」
「ひゃ……ひゃいっ……わ、私は金井さんが、す……き、です……」
奈良が慌てたように叫んだ言葉。震える唇から弱々しく放たれたその言葉を噛み締めるように、菜々美は目を瞑る。フッと溜息をつきビクリと腰を震わせると、彼女の口からだらしない声が漏れ出した。
その時、奈良の口に差し込まれていた指がこぼれ落ちる。そして、それは菜々美のスカートの下に消えていく。
「ぁ……んっ……はぁ……はぁ……」
「金井……さん……?」
力の弛みを感じた奈良は無意識に、菜々美の腕を抜け出していた。心配する様な瞳を向けながら、距離を取る様に椅子に座り直している。
菜々美は椅子にもたれかかったまま、荒い息を整えた。肺の動きと共に、豊満な胸が自己主張するように跳ね、セーラーカラーを揺らす。1限の数学教師が来るまでの僅かな休憩時間の到来にざわめきが広がり、2人を閉じた世界に誘った。
「はぁ……はぁ……奈良ちゃん……ダメだよ。私っていう、好きな人がいるのに……お姉さんとセックスしちゃダメ……」
「し……してません……っ」
そんなやりとりの中、奈良がおずおずと席を立つ。どこか後ずさるように背を丸めて。
「奈良ちゃん……どうしたの?」
菜々美の質問を受け、奈良の瞳に影が落ちた。顔を僅かに背けて、横髪を揺らしている。
「その……行かないと、ダメなので……お話はまた今度…」
それだけ呟くと、奈良はスカートを靡かせて、どこかへと行ってしまった。鈍臭くトテトテと走る姿は小動物そのもので、肉食獣に今にも取って喰われてしまいそうである。しかし、誰もそうはしない。
(奈良ちゃん……また行っちゃった……やっぱり、桜子先輩は強いなぁ……ふふ……)
菜々美が怪しい笑顔で再び空白となった席を見つめると、徐に先程まで奈良の尻が置かれていた場所を撫でまわし、残熱を肌で感じ始めた。しばらく続けると、撫でた手のひらを鼻に当て、スーハーと深呼吸をする。
「……んはぁ……❤︎」
そんな彼女を眺めるクラスメイトらは、極めて気色が悪いモノを見るような軽蔑と共に、嫉妬が混じる、そんな熱を持った瞳を投げかけていた。窓から風が吹き抜け、空気が入れ替わろうとも……全ての元凶、柊奈良がどこかへ行ってしまっても、教室を取り巻く歪んだ空気だけは、しつこく、残留していた。
◇◇◇
また消えた。私の親友、柊桜子は本当によく消える。休み時間は本当によく消える。
「授業始まるって、はぁ……」
「綾香、また桜子どっか行ったね。今年入ってから桜子、休み時間消えすぎ」
隣の席に座るまん丸メガネが特徴的なクラスメイト、舞香が笑いながら言うが笑い事ではない。事情を知らないとなんとなく面白いのは分かる。しかし、事情を察してしまうと笑い事には到底収まらない。
「ほんと……異常だよ……」
「仲良い綾香を放ってだもん。寂しかったりするの?」
「はは……まさか」
私は桜子の心配をしてるわけではない。私はずっと……妹の方、奈良ちゃんを心配しているのだ。
奈良ちゃんが可愛すぎるのは分かる。それにしても、桜子のシスコンっぷりは異常。桜子が授業中見ているのはいつだって、ノートでも教科書でもなく、奈良ちゃんの自作写真集。中学の頃からずっとそう。
そんな激ヤバシスコンが休み時間になると必ず姿を消す……そんなの理由は一つしか想像つかない。
「絶対……奈良ちゃんにまとわりついてる……最悪、ストーカーまがいのこと……」
「え……なんて?」
ただただ奈良ちゃんが心配。奈良ちゃんが桜子に変なことされてるのを想像すると、胸がキュンといたんで、体が熱くなる。それと同時に、そんなことをしている相手に、沸々とした何かが湧き上がってくる。
気づけばスマホを叩いていた。奈良ちゃんにメッセージを打つ。本来、こんなこと、桜子が絶対に許さない行為なんだけど、親友補正で奈良ちゃんと直接メッセージのやり取りすることを見逃してくれているっぽい。
『けさ、うるうるしてたけど大丈夫?
私で良ければお話し聞くよ?』
何か違う。『聞くよ?』だと奈良ちゃんが遠慮して、
『ありがとうございます』
『でも大丈夫です!』
『ちょっと調子悪かっただけですから!(≧∀≦)』
みたいな返事が返ってくるに違いない。奈良ちゃんは遠慮しがちだし、そういう子だ。
『綾香おねーちゃん、奈良ちゃんとお話ししたいなぁ〜。チラッ』
……ちょっと桜子みたいなお姉ちゃん感で奈良ちゃんを惹きつけつつ、「お願い」することで逆に遠慮させる。これなら、奈良ちゃんもお話ししてくれる……もうひと押し足りないかな。
『今日の夕方、2人きりで電話したりできないかな?』
これでとどめ。奈良ちゃんは強引に行けば、遠慮なんてできないからね。桜子の許可が鬼門だけど、なんとかバレずに時間を作ってお話ししてくれることも、あることにはあるから……それに期待。
「綾香、どうしたの?そんなにニマニマして。好きな男でもできたの?」
舞香がイタズラな笑みを浮かべながら、覗き込んでくる。レンズを光らせて、何てことを言うのだこの娘は。
「バカ言わないで、そんなわけ無いから」
「ほんとかなぁ」
男なんか……何がいいのか分からない。奈良ちゃんの方が、可愛いし優しいし可憐だし純粋だし。そう言う意味では好きな女の子にニマニマしてた……のかな。でも、恋愛とかじゃ、無いし。
「はいはい邪推しないのっ」
「え〜」
奈良ちゃんの返事、いつ来るかな。下校の時にも会えるし、その時に直接かな。楽しみだな。奈良ちゃん……私が絶対に守ってあげるからね。どれだけ桜子が変態でどうしようもなくても、絶対に。
……授業が始まるまで後2分。とりあえず奈良ちゃんの教室覗いてみようかな。
◇◇◇
一階の多目的トイレでは裸にひん剥かれた奈良が、桜子の上で腰を振っていた。前後にせっせっと、グチュグチュとした音を立てて揺らされているのだ。桜子の手がギュッと奈良の両尻を掴み、奈良の腰を導く。上の服を脱ぎ、スカートとパンツを下ろして便器に座る桜子の腿に濃厚な愛液が染み込んでいた。
「はぁ……はぁ……お姉ちゃん……お姉ちゃん……ダメなのに……ダメなのに…ぃ…」
「ダメじゃない❤︎……普通のことよ、姉妹じゃね……❤︎」
奈良の顔はすっかり蕩け、頬に涙を流しながらも快楽に歪んでいる。涎をこぼす口角は僅かに上がり、淫靡な吐息を吐き出す口は積極的に塞がれていた。
「んんっ……ん……にゃあ……おねぇ……ちゃ……んふぅ……」
グチュ……グチュ…ジュル……ンチュ……卑猥な摺音が小さな部屋に響く。扉の外から喧騒は聞こえない。
「んはぁ……奈良気持ちいい?お姉ちゃん、奈良が気持ちよくなってくれたら、もう何もいらないよ……奈良の愛以外❤︎」
「……よくない……気持ちよくないぃ……んんっ……ぁふ……」
絶えず擦り付けられていた奈良の尻がビクンと跳ねた。小ぶりなのに肉がタワワとついたエロ尻がブルンと跳ね、桜子を悦ばせる。
桜子が鼻息を荒くして、パシンと桃尻をしばくと奈良は甘い声を出して震えた。桜子に絡みつく腕の力が強くなり、唇を桜子のものに吸い付かせ、全てを吸い取る様に胸を上下させている。桜子の爆乳が奈良との間で潰れるほどに、2人は密着していた。奈良の腰が怪しく揺れている。
「んっ……はぁふ……すは……んにゅ……ぁぃ……く……しゅ……き……ん……だめ……ちがう……しゅきじゃな…いぃ……だめ……うそ……すは……んん……」
「ん……はぁ……にゃら……ぜぇ……くるしいよぉ❤︎……お姉ちゃんの……んんっ……息好きすぎ❤︎」
その時、桜子のスカートからバイブ音が鳴り、2人の動きが一瞬止まる。
(奈良のスマホに通知……?だれ……綾香……?)
桜子が自身の唇に吸い付く妹を宥め、引き剥がす。さらりとした前髪を指で優しく上げ、愛欲に溶けた瞳に目を合わし、猫撫で声で囁いた。
「奈良……待て❤︎……命令、お姉ちゃんのスカートから、奈良の携帯を取り出して私に見せなさい❤︎」
「ぇ……やだぁ……」
奈良はそのまま俯いて、桜子の胸に顔を沈み込ませた。桜子の胸の中で空気が騒がしく動いている。
困った様な笑みを浮かべて、桜子が自身の髪を一房摘んで谷間に差し込むと、暫くもしない内に、その毛束は胸の中に吸い込まれていった。それを掴み引き上げると、モグモグと毛束を咥えた奈良の顔が上がる。
桜子の髪を口いっぱいに頬張り、恍惚の表情をした奈良が釣れた様だ。
「もむ……んぐ……にゃあ……お姉ちゃん……これは違くて……んぐ……かってに……口の中入っただけで……」
「はいはい❤︎……分かったから言うこと聞きなさい❤︎」
「んむ……ぅ……」
桜子の透き通る様な手が、優しく奈良の口を開いて髪の毛を掻き出した。奈良の唾液でべっちょりと濡れた毛束が肌に張り付き、重みで彼女の頭皮を引っ張るが、その痛みすら幸せなのか、優しい笑みを浮かべている。
奈良がフラフラになりながら、立たされるとへにゃりと屈んで桜子のスカートを漁った。桜子の写真が透明カバーの隙間に入れられたスマホを取り出すと、すぐに桜子の上に向かい合って座ってしまう。
「はい……お姉ちゃん……パスワードは変えてない……」
「はぁい……よくできました❤︎……よしよし……」
「うん……」
奈良はすぐにスマホを姉乳に挟むと、腰に手を回して抱きついた。肩に流れる桜子の髪に顔を埋めて、呼吸を整えている。桜子に撫でられては、目を細めて気持ちよさそうに喉を鳴らし、腰を僅かに揺らし始めていた。
「もう……ほんとに……変態……❤︎」
「変態じゃないもん……」
そんな妹の背中を片手で摩りながら、谷間からスマホを摘みとり、ロックを開いた。通知の正体は……綾香。桜子の眉がピクリと動く。
「奈良……綾香が、2人きりで、お話ししたいって……どうしたい……?」
「お姉ちゃんが良いなら……」
桜子は片手をそっと奈良の胸に当て、手のひらで無い胸を掴む。ゾワゾワと体を捩らせ、太ももに伝う愛液の増加を肌で感じながら奈良の耳を甘噛みした。
「んひゃぁ……お姉ちゃん……っ……」
「お姉ちゃんに……許して欲しい……?」
「はぁ……はぁ……お話を……?」
「もちろん……」
奈良が桜子の上で固まる。桜子の太ももに擦り付けられる愛弁だけが、ヒクヒクと擦れ、愛を示している。
しばらくして、奈良が口を開いた。
「許して……欲しい……綾香さんと……」
「ふふ……お仕置き確定ね……❤︎」
遮る様に奈良の鼓膜に囁かれた甘い宣言に、彼女の腰はガクガクと震えた。桜子の太ももを伝うものが勢いよく流れる。
「ん……ぁ……ふ……やだぁ……おかしい……そんなの……」
「言い訳はベットの上で、聞いてあげるからね……❤︎」
「んにゃぁ……」
ポタポタと便器に落ちる水滴の音を掻き消すように、廊下からチャイムが鳴り響く。しかし、そんな音は聞こえていないかの様に、時間も忘れて、二人は溶け合い続けた。
◇◇◇
「じゃあ明日からの土日は、体を休めてください。1週間お疲れ様でした。……ふぅ……解散」
須崎の言葉共にLHRが終わり、生徒たちがわいわいと騒がしく荷物を纏め始める。窓から差し込む光はまだ青く、週末の開放感が教室には満ちていた。
教室の端では、奈良もワタワタとカバンにノートを詰めている。不器用に手を滑らせて、一冊のノートを足下に落とすと、「ひゃ…」と声を漏らした。
腰を下ろし、ノートを拾い上げようとした奈良の手は、さっとノートを回収した白い手によって行き場を失ってしまう。彼女が震える瞳で見上げる先には、美しい顔を紅潮させた菜々美がノートを手に笑っていた。
「奈良ちゃん……はい、どうぞ……」
肩にかかる銀髪をそっと揺らし、甘い香りと共に立ち上がった奈良は、背を丸めながら、おずおずと手渡されたノートを受け取った。
「……あ、ありがとう……ございます……」
奈良が机に向き直り、カバンにノートをしまおうとした瞬間——
菜々美の腕が、するりと奈良の腰に回される。
奈良の動きがピタリと止まり、肩が小さく震えた。目を伏せたままの奈良の目尻には、じわりと涙が滲み始めている。
「あ……あの……」
「はぁ……ふぅ……良い香りだね……奈良ちゃん」
奈良のつむじに鼻先を向け、嗅ぐ様に鼻をヒクつかせる。鼻息が奈良の髪を揺らし、いやらしい手が奈良の尻を犯した。モミモミ、パシンと好き勝手に弄っている。
奈良の呼吸が次第に不規則になる。甘く切ない声と共に、震えるように体を捩らせ菜々美に向けて倒れ込んだ。
「や……やめて……欲しいです……私……やっぱり……」
「奈良ちゃん……近親相姦はダメなんだから……私としないと……ね……」
菜々美に手は止まる事なく、奈良の全身を撫で回す。制服の中に手を侵入させ、お腹を撫でては胸を揉む。首筋に鼻息を当てて、菜々美は腰をビクンと揺らした。
「や……いやです……私……お姉ちゃん……が……待ってるから……」
「だめだめ……ぁ……ん……」
菜々美がビクビクと足を震わせると、奈良を弄る手が緩む。その隙に、奈良は激しく体を揺らして、菜々美の腕から抜け出した。胸に手を当てながら息を整え、カバンを手に後ずさる。
「わわ……私……まだ、その……よく…わからなくて……ごめんなさい……協力、してくれてるのに……」
「……はぁはぁ……ふふ……良いんだよ…努力が大事なんだから……今日も奈良ちゃんはお姉さんと、楽しむんだね……」
奈良は何も言わず、瞳に影を落とした。
「……また……月曜に……」
そう告げると、奈良は逃げる様に教室を後にした。息を切らしながら廊下の人混みを抜けて、途中何も無いところで躓きそうになる。それでも、桜子のクラス――2-Bに向かって必死に走っていた。
――――――
奈良がおずおずと2-Bの扉を開ける。ズズズという音を鳴らす扉の隙間から覗かせた顔に、教室内に残っていた数人の女子達が黄色い歓声を上げた。
『来た、奈良ちゃ〜ーん!!』
『可愛いぃぃ〜〜!!』
髪を金に染めたギャルが、優雅に髪を揺らして立ち上がった桜子を見ながら、若干浮き立った声で訊ねる。
「あのさ、桜子……奈良ちゃん、今日こそ撫で撫でしてみて良い?さすがに可愛すぎるんだわ」
コツコツと足音を立てて、ふわりと扉の前で戸惑う奈良に近づいた桜子は、鼻で笑いながらその愚問に答えた。
「良くないに決まってるでしょ。寝言は寝ていって、何度言わせるの」
「えーー」
桜子が奈良を抱きしめる前に、奈良の方から姉おっぱいに沈み込んでいた。胸をくすぐる様な感触を受けて、桜子は慈しむ様な瞳で奈良を見つめる。
「おねぇちゃん……ふわ……すは……ごめんなさい……2分遅れちゃって……ごめんなさい……」
「ううん……良いのよ……奈良……よしよし❤︎」
甘い香りがする様なやり取りに、女子達は呆れた様な、羨ましい様な溜息をついた。
「はぁ……じゃあ、うちら部活行くわ」
「おし、ワイらは帰って、コメバいこーぜ」
(※コメバ――コメットバックス。おしゃれなカフェの店)
「良いねー」
ガヤガヤと人が出ていき、教室内に残ったのは、抱き合う柊姉妹と目を伏せて椅子に触る綾香だけとなった。
「……お姉ちゃん……むゆ……すは……お姉ちゃん……」
「どうしたの……❤︎甘えん坊はおうち帰ってからにしないと❤︎」
「……甘えてないもん……」
完全に二人だけの世界に入り込んだ姉妹のやり取りに、綾香が大きくため息をついた。
その音が耳に届いたのか、奈良が桜子の柔らかなクッションから顔を上げる。
桜子は物足りなさそうに唇を尖らせたが、奈良はそれに気づくことなく、姉の腕からするりと抜け出した。そして、綾香のもとへと駆け寄ると、さらりと横髪を垂らしながら彼女の瞳を覗き込む。
まんまるに煌めく蒼瞳が、紅の瞳をうるうると見つめていた——。
「綾香さん……どうしたの……?」
「ぇ……奈良ちゃん……」
綾香の耳たぶが赤く染まる。あらぬ方向へと目を逸らし、綾香から上擦った声が出た。綾香を見つめる桜子の瞳は、奈良とは対照的に鋭く冷たい。
「ぃ……いや……何も無いよっ……あはは……さ、桜子、早く帰ろうよっ……そう思ってただけだから……あはは……」
きょとんとした顔で棒立ちする奈良を、桜子が小脇に抱き寄せ、そのまま3人はカバンを手に学校を出た。
◇◇◇
「んっ……はぁ……にゃ……ぁ……ちゅぱ……ちゅむ……ん……」
「はーい❤︎……ばぶばぶ……」
家に帰るとすぐ、お姉ちゃんがリビングでやろうって……こんなのダメ……だけど……お姉ちゃんがおっぱいにつば塗り込むから、そんなの舐めないと勿体無いから……舐めてるだけ……これはセーフだよね。
「ちゅぱ……んむぅ……にゃ……もっと……やっぱり嘘……」
「あっ……ソファに唾溢れちゃう……うぇー……」
布製のソファに唾なんてかけたら、お母さんに怒られちゃう……!だから、これは仕方ない。お母さんのために、ソファに溢れる前にお姉ちゃんの唾飲まなきゃ。
「ぁむ……あー……ん……にゃあ……じゅる……まぁ〜……」
「奈良ぁ……❤︎……お姉ちゃん、次は鼻水垂れちゃいそう……❤︎……ちーん……」
お姉ちゃんの鼻から……これもソファに着いたらダメだから奈良が、奈良が飲まないと。
「ちゅる……んんっ……ぁま……はぁ……」
甘くてヌリュっとした酸味が舌の上で溶ける。飲むたびに思うけど……お姉ちゃんの鼻水は最高級ゼリーみたいな感じ。美味しい……美味しい……人生で口にしたどんなゼリーよりも、遥かに美味なの。こんなこと思って良いのかな……これは近親相姦?鼻水飲むのってそうなのかな……違うよね。これは普通だよね、姉妹じゃ。それならいいのかな。
ふと見上げると、お姉ちゃんの瞳が私を見てる。真っ直ぐ見てくれてる。そんな美しくて、澄んだ瞳をして、奈良の胸を……私の……妹の胸を弄ってる。胸を揉みほぐされると、体の芯が震える。乳首カリカリしないでぇ……変な熱がぁ……。
「んにゃぁ……お姉ちゃんんぅ……はあ……はぁ……」
「あらあら……もうイきそうなのね……❤︎……じゃあ……ほら立てる……?」
足がフラフラして立てない。お姉ちゃんが支えてくれないと、立てない。でも、お姉ちゃんが抱きしめて、支えてくれたら立てるかも。
「ぁ……お姉ちゃん……にゃら立てないぃ……」
「はーい❤︎」
お姉ちゃんが優しく私を抱きしめて、立たせてくれた。
お姉ちゃんの胸に顔を沈めると、甘い香りが鼻腔を満たす。何も考えられなくなるくらい、心が落ち着いて安心する。お姉ちゃん……好き……大好き……。
「お部屋行くよ……?…大丈夫……お姉ちゃんの胸の中なら一緒に歩ける?」
「うん……あるける……」
「よかった❤︎……ほら行くよ……❤︎」
お部屋入るとついに始まるのかな。今日のお仕置き。お仕置き、何されるかな。お姉ちゃん、奈良……お仕置き…………。
