お姉ちゃんに手を引かれ、月明かりがベットを照らす部屋へと連れ込まれる。お姉ちゃんの部屋はいつも甘い香りがして、入った途端、胸の奥がじんわりと熱くなる。股の奥も……きゅんと疼く。
青銀の長髪をふわりと揺らして、お姉ちゃんがベッドに腰を下ろすと、ギシリと軋む音が立った。続けて、お姉ちゃんがそっと服の裾に手をかけると、ほんのりと赤みがかった透き通る素肌が顕になる。常夜灯がたゆんと溢れた乳房に影を作り、艶かしい凹凸を際立たせていた。私の目は吸い寄せられる様にそれを見てしまう。息が荒くなる。呼吸が……足りない。
そして、お姉ちゃんは、立ち尽くす私に向かって両腕を広げ、甘く囁いた。
「なぁら❤︎……こっちおいで……」
蕩けるような猫撫で声が耳をくすぐる。甘くて、優しい音が、脳の奥まで溶かすように沁み込んできた。
「ぉ……お姉ちゃんっ……」
私は吸い寄せられるように、お姉ちゃんの胸に顔を埋めた。ふわりと、鼻腔を満たすのは、誰よりも何よりも私を安心させてくれる、大好きな香り。
柔らかな膨らみに頬を寄せると、包み込まれるような温もりに体が緩んでいく。
「奈良はほんとに、甘えん坊なんだから……じゃあ、奈良も服、脱ごっか……」
「う……うん……」
お姉ちゃんの指が、私のパジャマのボタンにそっと触れる。ひとつ、ふたつと外されるたび、蒼い瞳が甘く細められ、熱を帯びていくのがわかった。
全てのボタンが外れると、ためらいなく、お姉ちゃんの指先がパジャマを剥いでいく。肌に空調の冷気が触れ、背筋がぞくりと震えた。
「奈良はほんとーに可愛いっ……じゃあ、今日もはじめようね❤︎……なぁら❤︎」
「ぁ……ぇぁ……ぅ、うん……お姉ちゃんっ……」
私はお姉ちゃんに逆らえない。いつも頼ってばかり、甘えてばかりの私は、お姉ちゃんの言葉ひとつで、簡単に従ってしまう。
だって、お姉ちゃんには絶対に、ぜっったいに嫌われたくないから。
「ぁ……やだぁっ…………んっ……」
「もうこんなに濡らして……ほんとうに…シスコン妹なんだから……」
お姉ちゃんの手が、私の奥を這う。くちゅ、くちゅ、と恥ずかしい音が響くたび、体の奥がきゅんと疼いてしまう。
私は今日も、お姉ちゃんに抗えない。
――そして、お姉ちゃんに犯される。
――いや、犯してもらえる……。
◆ ◆ ◆
とある田舎、冥天町に住む柊家は、地元では有名な美形一家だ。美人でお淑やかな長女の桜子に、寡黙でお人形さんのような次女の奈良。この姉妹の銀髪の髪に蒼色の瞳は、この田舎では一際目立っている。
玄関の扉を開けた姉妹を迎える様に、涼風が吹き抜けた。庭の木々や植木がざわめき、木の葉が舞い散る。その一つが奈良の薄い胸を隠す、セーラー服のネクタイに引っかかった。
奈良はそれにも気づかず、塀の向こうに見える坂道から見晴らす冥天町の田園を眺めていた。丘の上に建てられた振興住宅街の下には、見渡す限り田んぼが広がっていて、水を薄く張ったそれが太陽を反射し、美しく煌めいている。
玄関の鍵を閉め終えた桜子が奈良の腰にそっと手を回し、抱き寄せる。甘い声を漏らしながら、姉を見上げる奈良の瞳は僅かに潤んでいた。
「ぁ…お姉ちゃん……」
「奈良……学校行こうね……ほら、歩いて……」
「わ、わかってるもん……」
家の庭を出て、小脇に抱き合いながら道を歩く2人は、その美しさもあってかなりの人目を引く。通りすがりのほとんどの人々は、彼女たちに目を奪われ、思わず振り返ってしまう。
「奈良はさ、学校楽しい?」
「…うん…まあ…」
「友達なんて居ないよね?」
「…いない…」
その言葉を聞いて、桜子は少し安心したように笑みを浮かべた。
「良かった、でも、大丈夫だからね。奈良にはお姉ちゃんがいるから」
「…うん……」
桜子は俯いて歩く奈良に顔を寄せ、柔らかい頬に口付けを落とす。キスされたのが恥ずかしかったのか、奈良は少し頬を赤らめ、歩調を早めた。
「どうしたの奈良?急ぐの?可愛いね」
「…お姉ちゃん……やめてよ…」
桜子は奈良の腰に手を回しており、彼女の小さい身体はしっかりホールドされて逃げられない。
桜子の手はまさぐるように、奈良のお腹を撫で始めた。今、桜子は奈良の顔しか見ておらず、前方などは気にも留めていないようだ。
「奈良は今日もほんとーに可愛いね。お腹柔らかいね。もちもち」
桜子の手はエスカレートしていき、スカートの中に滑り込んでゆく。
「はぁ…ぅぅ……お、お姉ちゃん……お願い…だれかに…見られたら…」
奈良の瞳は涙でうるみ始めた。頬は紅潮し、耳まで赤くなっている。
そんな時、背後から2人に元気な声がかけられた。
「桜子っ、奈良ちゃんとは相変わらずベッタベタだね。おはよ」
「綾香、おはよ」
「……おはよう…ございます…」
桜子の手は、親友である日暮綾香の登場によって、奈良のスカートから撤退していた。奈良はホッと息をつく。
黒髪のツインテールと長い後ろ髪を風になびかせ、綾香は奈良の隣に静かに立った。彼女の真紅の瞳が、懸念を帯びて奈良を見つめている。
「奈良ちゃん、どうしたの?何か辛いことでもあったの?」
綾香は奈良の目尻に浮かんだ涙を見て、違和感を感じたようだ。さりげなく、奈良の左手を掴み、桜子から引き剥がす。一瞬、桜子の目が鋭く綾香を睨んだが、それに気づくものはその場にはいなかった。桜子は黙って奈良の背中に手を回し、優しく撫で始める。
「…えっと…その…」
奈良の目が泳ぐ。
「奈良、無理して言う必要はないからね。今日の夜にでも、お姉ちゃんが2人きりで聞いてあげるからね」
「桜子……あんたさ、はぁ……。奈良ちゃん、もしよかったら私に連絡して。なんでも相談のるからね」
「……あの……はい……ありがとう…ございます」
奈良は2人の押しに耐えられず、ただ俯くばかり。奈良を挟む2人の間には、緊張した空気感が漂っていた。
――――――――
田んぼや古びた民家が立ち並ぶ、のどかな田舎道を3人の少女は歩みを進める。静かな春の風が田んぼの苗を揺らし、自然のざわめきをつくった。
しばらくすると、道は寂れた街へと移り変わる。多くの店舗が閉店し、寂しさを感じさせる商店街を抜けると黒ずんだ校舎が姿を現した。次第に道を歩く学生の数が増え、辺りが賑やかになってゆく。
「もうそろそろ着くね。ねぇ、奈良。お姉ちゃん寂しいよ。奈良と離れ離れになっちゃうなんて…」
桜子は奈良の右腕を絡め取り、ねっとりと囁いた。そんな桜子を綾香は冷めた目で見つめる。
「桜子はそろそろ妹離れしたほうがいいんじゃない? ねぇ、奈良ちゃん」
「……えと……そう…なのかもしれません……」
伏し目がちに答えた奈良の言葉に、桜子の目が大きく開き、表情が強張った。奈良の右手を握る手に、ぎゅっと力が込められ、手の甲に青筋が浮かんでいる。
「綾香も奈良もひどいね。なんでそんなこと言うの」
桜子が唇を尖らせ、いじけた様子を見せると、綾香は呆れた表情でため息を吐いた。
そうこうしている内に3人は正門を抜け、高校に足を踏み入れる。生徒達が慌ただしく行き交う廊下を、奈良が瞳に影を落としたまま歩き、その後ろでは、保護者の様に慈しむ表情を浮かべる桜子と綾香が談笑していた。
その3人とすれ違う男子生徒の多くは、奈良と桜子に目が釘付けになり立ち止まる。
「ぼ、僕さ、今日、奈良ちゃんに告白しようと思ってる――」
「え、いやそれは……やめといた方が――」
「柊先輩のおっぱい――」
「太ももだって――」
等、立ち止まる男子生徒は思い思いに呟きながら、3人の背中を見送った。
桜子と綾香は、まるで奈良を自慢するかのように誇らしげな表情を浮かべ、満足げに微笑む。一方、奈良は俯いたまま、男子生徒達の様子には気づかずに廊下の白線に沿って歩き続けていた。
やがて奈良の教室である1年A組の前にたどり着くと、奈良が足を止め、2人もそれに続く。廊下の喧騒が少し遠ざかり、静かな空気が3人を包んだ。
「奈良、今日も一日、頑張ってね」
「奈良ちゃん、またね」
「……うん…お姉ちゃん……綾香さん……」
1年A組の前で桜子と綾香は奈良にお別れの挨拶を言う。綾香が少し淋しそうに踵を返した時、桜子が奈良をそっと抱きしめると、奈良は無抵抗に収まった。桜子の胸にすっぽりと包まれて縮こまった奈良の耳元に、甘い囁きがかけられる。
『なぁら……5分後、一階の多目的トイレに来なさい……わかった?』
『ぁ……ふ……』
奈良はその質問に、足をガクガクと震わし、腰をビクンビクンと跳ねさせて答えた。スカートの裾が怪しく揺れる。桜子の胸の中で、蒸気を含んだ息を何度も何度も荒く吐き出し、耳たぶが真っ赤になって放熱を始めている。
『だめ……だよ……はぁ…はぁ……おねえ…ちゃん……』
『だめじゃないでしょ……奈良、何がダメなのかお姉ちゃんが分かるように説明してくれる……?もし、お姉ちゃんが分からなかったら放課後は一日中お仕置きだけど……❤︎』
桜子の手が艶かしく奈良の背を這う。背筋に沿って指をなぞると、奈良の腰がゾゾゾと震え、尻をブルリと痙攣させた。甘い鳴き声を姉の胸の中でくぐもらせる。
『……ホ、ホームルームに……お、おくれ……ちゃう……か……ら……だめ……な……の……』

奈良の緩み切った声を遮るように、桜子の絡めとるような声が奈良にまとわりついた。もう逃げ場はない。
『お仕置き確定ね……なぁら❤︎……じゃあ、多目的トイレ来てね。お姉ちゃん待ってるから……来なかったら……分かるよね?それじゃあ……綾香に怪しまれちゃうから……』
『ぁっ……おねえちゃっ……』
奈良は解放されても、桜子に抱きついたまま離れない。桜子が困ったように微笑みながら、そっと小さな頭を撫でると、観念したかのように奈良は離れた。真っ赤に火照った顔で姉を見上げ、両手で胸を押さえている。
「2人とも何してるの?桜子、行かないの?」
「うん……綾香、待たせてごめんね。じゃあ奈良、また❤︎」
「…………うん」
残された奈良の背中は小さく、小動物のように震えていた。
◆ ◆ ◆
奈良に言いつけた多目的トイレに向かうと、既に誰かが使っているようだった。奈良が待っていることを期待してノックすると、内側からガチャリと鍵が開き、可愛い妹が顔を覗かせる。
「お姉ちゃん……はやく……ホームルームが……」
奈良がもじもじと身体を揺らしながら、私の服の裾を引っ張った。私の愛らしい欲しがり妹は、はやくお姉ちゃんを感じたいらしい。
「はーい、はやくエッチしようね❤︎」
「う……うん……」
奈良を押し込むように部屋に入り、扉を閉めると廊下のざわめきが一気に遠くなる。鍵を閉めれば、もう2人だけの世界。声だけ気をつければ、エッチでもなんでもし放題だ。
長いまつ毛の下から、上目遣いで私を見つめる奈良を見下ろすと、カラダの奥がジンと沸き立つ。どんどんポカポカしてきて、服すら脱いでしまいたい。
「なぁら……まず、何からして欲しい?」
奈良はぷくりと頬を膨らませて、そっぽを向く。そして蚊の鳴くような声でぼそっと答えた。
「な……なにも……いらない…もん……」
そんなことを言って、お姉ちゃんは奈良が欲しがりなドシスコン妹なのを知っているんだぞ。立ったまま、優しく胸に抱き寄せると奈良が甘い声を漏らす。
「ぅ……うぅ……すぅ……ぅ……はぁ……はぁ……お姉ちゃん……お姉ちゃんの……におい…………」
……ほら、このシスコン妹はお姉ちゃんの温もりに包まれてすぐ、くんかくんかと楽しみ始めた。
そうして、胸に埋もれた繊細な銀髪。これを撫でると妹臭がほのかに舞う。この甘くてムラムラする淫靡な匂いは、いつも私を狂わせる。肩にかかった髪を徐に一房つまみ取ると、そっと口に含んだ。優しい癖になるような旨味と甘味が舌にとろける。
「奈良の髪はやっぱり美味しいね……はむ……んんっ……ぁぁ……なら……お姉ちゃん、すっごいムラムラしてきちゃった……」
お姉ちゃんのおっぱいに興奮して息荒くクンクンしている変態妹をそっと引き剥がすと、そっと唇を重ねた。繋がった隙間から、熱を孕んだ吐息が流れ込んでくる。それは荒く、不規則。奈良は無我夢中になって、私の吐息を味わおうとしているのだ。なにしろ私の妹は、お姉ちゃんのことが大好きなど変態なのだから。
「ふぁ……おねえちゃ……んんっ……ぁ……やぁっ……しゅ……だめぇ……」
「んぁ……はむ…じゅる……はぁふ……んんっ……ま」
私は、口の中に広がる奈良の髪を舌の上でころがし、奈良の口へと差し込んだ。奈良の口腔には、お姉ちゃんの舌を嬉しそうに絡みとる変態舌がいつも待っている。今日も嬉々としてお姉ちゃんの唾液を吸い込んでは、プレゼントも受け取ってくれた。
奈良を抱き寄せる両手に、ビクンビクンと振動が伝わる。そっとスカートを捲り、小柄で華奢な体についた変態桃尻を撫でると指に水気が伝わる。
奈良はもうパンツまで決壊してるみたい……❤︎
いつものことか…❤︎
「んっ……はぁ…どう、なら……美味しい?…お姉ちゃんの唾液ドレッシングをかけた奈良の髪だよ……」
「ふぁぁ……にゃぁ…やだぁ……だめなのに……ぁふ……しゅき……おいちくなんかぁ……ない……」
まだキスしただけなのに、こんなに蕩けて。これだから欲しがり妹のお世話は大変なのよね。お姉ちゃんが1時間に一回は“愛して”あげないと、この子は飢餓しちゃうに決まってる。こんなに飢えてるんだもん❤︎
生意気を口にする唇にお仕置きキスを落としながら、壁に押し付けるように貪る。奈良の唾液を吸い込んでは、お姉ちゃんの愛を送り込む……奈良と私だけの特別な愛情表現。
「んんっ……ぁむ……じゅる……なぁら……」
「ぁ……ん……だめ……やぁっ……ん……だめぇ……っ……じゅる……じゅるる……ぁぁ……じゅる……にゃあ……」
唇を離すとそこにはすっかり蕩け切った、敏感快楽堕ち妹が顔を真っ赤にし、喜びで目尻に涙を浮かばせていた。口に入った髪が可愛い。奈良が自分自身の髪を食べさせられている……それだけで興奮する。可愛すぎる天使のウロボロス❤︎
「奈良、おパンツ脱ごうね……」
「ぁ……ぁ…ぅ……やだぁ………」
ヤダなんて言いながら、従順にびしょ濡れになったそれを献上して、胸に埋もれちゃうのが、私の妹。私のことが好きすぎる……変態妹……❤︎
奈良から受け取ったパンツを鼻に押し付けて嗅ぐと、水気が染み出して鼻腔を満たす。遅れて甘い香りが包み込み、ドーパミンが溢れ出した。股間が疼き、熱いものが込み上げて漏れ出す。
「はぁ……もう……無理、奈良……ホームルームなんて……もういいでしょ……❤︎」
「やぁ……だめ……っ……はふ……はぁっ……だめだよっ……」
込み上げる劣情のままに、奈良をトイレに座らせた。両足を持ち上げ、奈良の偏差値百億の愛弁に対面すると、ビクビクと汁を漏らし、グニュグニュと私が待ち遠しくて泣いている。
「やぁっ……だめ……っ……お姉ちゃんっ……昨日もっ……先生に怒られたのにっ……」
「はぁっ……はぁっ……そしたら今日はお姉ちゃんが同伴してあげる…❤︎…全部お姉ちゃんのせい……それでいいでしょ……」
「良くないっ……だめぇっ……やぁっ……おねえちゃ……っ……ぁ……ぃぐ……ぁぁっ……んんんっ……ひゃぁ……」
か弱い力で突っ張る腕を退け、奈良の小さな割れ目に舌をなぞり這わせた途端、割れ目から勢いよく温かいものが噴き出した。口腔に広がる酸味、芳ばしいこの香りは――聖水。お姉ちゃんのために、おしっこ貯めててくれてたんだ、奈良❤︎
妹のおしっこを飲むのは、本当に幸せだ。生を実感する。私は奈良を愛するために、奈良の全てを知るために生きてる。私だけの……奈良。誰にも渡さない、私だけが見て、感じて、味わって、愛される。私だけ……私だけ……お姉ちゃんだけのもの。
◆ ◆ ◆
奈良のクラス……一年A組では、担当教員の須崎が既にホームルームを始めていた。茶髪を後ろに束ねたポニーテールの女体育教師。そこそこ美人で男子人気も女子人気も高いが、怒らせると怖いと、入学して一、二ヶ月の一年生の間ですら噂されている。
「相川守、池田花、生川翔太、女川悟、金井菜々美……」
点呼が始まり、生徒たちは名前を呼ばれると返事をしてゆく。すぐに順番は回り、柊奈良が呼ばれると、静寂が訪れた。教師を取り巻く空気が、少しピリつく。
学生簿からすっと目をあげ、奈良不在の机を見る須崎の瞳は厳しい。カバンだけが机の上に置かれ、その持ち主は居ないのだ。彼女は呆れたようにため息をつくと、ぼそりと文句をこぼした。
「柊……またか。荷物だけ置いて何してる。みんな、何か知ってるか?」
須藤の質問に答えるものは誰もいない。皆、些細な事を知るのみで、周囲に座る友人とヒソヒソと耳打ちをする程度であった。須藤はざわめき立ったクラスを見渡し、コソコソと喋る1人の学生の前に立った。
「佐藤、お前何か知ってるのか。言ってみろ」
「うぇっ……!」
声をかけられた女子生徒は、肩を振るわせ、短く改造したスカートから覗かせるムチりとした太ももを組み解く。
「いや……なんか、これたぶんプライベートな話なんで、こんな、晒しあげるような形で話したくないっす」
「そうか……それなら良い。本人から聞こう」
教室の後ろの扉がガラガラと音を立てて開く。クラスの殆どが振り向いた先にいたのは、渦中の柊奈良……と、その姉、柊桜子だった。
「奈良……❤︎……ほら、お姉ちゃんから離れてお席、戻らないとね❤︎」
「うん…………」
本来、2年の教室にいるべき桜子が、何故か奈良を抱いて現れる。それだけでも、皆を混乱させるには充分であったが、奈良自身も桜子の横乳に顔を埋めるように抱きついており、その異質な雰囲気に誰もが息を呑んだ。
「……柊、遅刻だ」
桜子が瞳に鋭い光を宿し須崎を一瞥すると、小脇に抱える妹を撫でながら、甘ったるい声で答える。
「須崎先生……ごめんなさい。可愛い妹が甘えん坊で大変だったんです……❤︎……ねぇ……なぁら……❤︎」
「……そんな……こと……」
小脇に抱かれた奈良が着る制服は、誰の目から見ても乱れており、スカートの下から覗く膝下が濡れ、法線を顕にしている。髪もどこか怪しく水分を纏っており、皆の想像を掻き立てた。
「……やば……」
そんな声が、教室のどこかから発せられた。一部の学生が、何かを恐れるようにビクリと縮こまり、固く手を握りしめる。また一部の学生は、その声の発生源を探る様に、滾った目で辺りを見回した。
しかし、桜子は特に気にすることも無く、奈良の頬にキスを落とすと、教室に押し込むように解放した。奈良は名残惜しそうに振り向き、何かを期待する様な瞳で桜子を見上げる。廊下から吹き抜ける風が蒼雪の絹髪を運び、2人を幻想的に飾り立てた。揺れるスカートが巻き上がると、刹那、奈良の濡れた素尻が晒される。
「それじゃあね……奈良。お姉ちゃん、ずっと見てるから」
「うん……」
消えゆく様な声で答える奈良。服の裾を掴み、背筋を丸め縮こまる様に足元を見ている。
そんな奈良に桜子が耳打ちをした。たった一言、風に溶ける様な声で。
『次の休みも……多目的トイレに来なさい❤︎わかった……?』
奈良の顔に笑みが溢れる。それが何を意味するのかは、本人しか知り得ない。
「それじゃあ……失礼しました。須崎先生、全部私が悪いので、奈良は怒らないであげて下さいね。」
桜子が優雅に髪をかきあげ、甘い香りを残して教室を去ると教室内に張り詰めた糸がふっと緩んだ。扉の前で立ち尽くす奈良を残して、学生達が思い思いにざわめき始める。
「柊先輩……やっぱエロ……」
「なぁ……やばって言ったやつ誰?」
「奈良ちゃん大丈夫かな……」
その喧騒を制したのは担任の須崎では無く、1-Aの天才――金井菜々美であった。桜子には劣る巨乳を揺らし立ち上がった彼女は、艶やかな長い黒髪を遅らせ、そっと奈良に近づく。そして、そのまま背後から抱きしめた。自身の胸に奈良の後頭部を埋め、愛おしそうに抱き寄せる。
「奈良ちゃん……大丈夫だった……?」
「ぁ……ぇ……」
クラス中から冷めた視線が菜々美に寄せられるが、彼女はそれらを気にすること無く、絡めとる様に奈良を撫でまわす。奈良が眉尻を下げ、キョロキョロと上を振り向くと、透き通る様な肌を蒸気させた女が、愉悦で口角を吊り上げていた。